げーん………。
私の頭からは、きっとぼのぼの汗が見えていたことと思います…。それほどまでに、乗船券売り場の係員の方と交わした会話の内容は衝撃的なものでした。
以下、ざっくりと会話の内容を書いてみると、
「田代島に行かれるんですか?」
「はい、そのつもりです。船は出るんですよね?」
「はい、船は出ます。あまりお勧めはできませんが…」
「え、帰りの船がないんですか?」
「いえ、あるにはあるんですけど、到着して10分後ぐらいに田代島を出港する船が、本日の最終便となります」
えぇ…。それはさすがに行く意味がなさすぎる。。聞けば、まだ海に台風の影響は出てはいないものの、いつ荒れ始めるかわからないため早々に欠航を決めたのだそうです。まあ…当然の判断ですよね。
やむなく諦めた私は、係員の方に確認します。
「明日は大丈夫ですよね。台風は通り過ぎているはずですし」
しかし、それに返ってきた係員の方の言葉もまた、無情なものでした。
「いえ、明日は全便欠航です。波が穏やかになるまでには時間がかかりますから」
「…」
これが決定打となり、冒頭の「げーん………。」となりました。
しかし、どうしよう。。今さらながら今回の旅程について説明しますと、
1日目:自宅→蔵王エコーライン→山寺→仙台
2日目:仙台→田代島→仙台
3日目:仙台→震災遺構→南三陸町
4日目:震災遺構(語り部ツアー)→松島→自宅
という、南東北だけで3泊4日の少し長めの予定としています。それというのも、台風接近の報を受けてからあわてて2泊3日の予定だったのを1日増やしたからであり、その増やした分は2日目、3日目のどちらか条件の良いほうで田代島に渡るためだったのですが…まさか両方とも島に渡れなくなるとは。
今回の旅のメインイベントが消滅するかもしれない大ピンチに立たされ、私は乗船券売り場にいた子ネコに構うこともせずよろよろとRX-7へと戻ります。まあ、子ネコに構わなかったのは、田代島に行けない状況にあって女々しく子ネコに構っている姿を係員の方に見られなくなかったという見栄からなんですが…その後もっと女々しい行動をとることになるとは、この時の私は知る由もありませんでした。
それはさておき。RX-7に戻った私は、大至急で旅程を組み替えます。考えること10分、出来上がったのが以下のプランです。
1日目:自宅→蔵王エコーライン→山寺→仙台(済)
2日目:仙台→石巻港(済)→松島→仙台
3日目:仙台→震災遺構(語り部ツアー)→震災遺構→南三陸町
4日目:南三陸町→田代島→自宅
自分の思い通りに組み替えができるのが、一人旅の気ままなところです。ただ、このプラン、最終日は松島に立ち寄るだけで早めに帰ってくる予定だったのが、田代島に一日滞在することになるためかなりきつい。。
しかし、大好きな「野良」ネコに会うためです。仕方ありません。決意した私は、次の目的地の松島に向かうべく、RX-7のイグニッションキーをひねるのでした。